- Vファーレン長崎の経営について知りたい人
- Vファーレン長崎のことが好きな人
- 将来プロスポーツチームで働きたい人
Jリーグも30年を迎え、Jリーグの総クラブ数は60クラブとなりました。
この30年でクラブ消滅や、経営失敗によるクラブ存続の危機など多くの出来事がありました。
そんななか今回取り上げるのは、クラブ経営の失敗から今までにないV字回復に成功したV.ファーレン長崎の実例です。
V.ファーレン長崎がどのような失敗をして、またどのようにして失敗を成功に変えたのかを見ていきたいと思います。
V,ファーレン長崎が抱えていた経営問題
2017年、V.ファーレン長崎はこれまでに経営危機に陥っていました。
2005年にクラブが創設されてから飛ぶ鳥を落とす勢いで成長をし2013年にJ2昇格、その後はJ1昇格プレーオフに進出するなどピッチ上では躍進を続けておりました。
また、2年連続黒字で黒字を計上していたこともあり経営面も安泰と思われていた矢先、翌年に突然の赤字報告があったのです。
赤字の金額は1億2000万円、、一体なぜこのようなことが起きてしまったのでしょうか?
親会社を持たないため、不安定な財政基盤
親会社を持たない地方クラブは、財政基盤が安定してないため経営難に悩まされることが都度あります。
V.ファーレン長崎もその地方クラブのひとつでした。
財政難に陥るたびに行われていたことが、経営陣による「自腹での資金負担」や「先食い」、「決算前の支援や増資」です。
※先食いとは、本来翌年に計上されるべき今期分に組み込むことです。
V.ファーレン長崎の場合、Jリーグ参入後にこの先食いによる予算の穴は年々大きくなっていきました。
クラブとしては近年になり2年連続の黒字決算だったこともあり、債務超過にならない程度に赤字を計上してその穴を埋めようとしました。
しかし、クラブの運営や経営を疑問視する匿名の投書があり、Jリーグによる再監査と再調査が行われました。
その結果、財政立て直しのために行われていた増資などの情報や経緯の一部がスポンサーにも広がり、支援の見合わせやスポンサー撤退などが相次いで起きたのです。
このときすでに累計赤字が3億1000万円という報道もあり、クラブの存続さえ危ぶまれていました。
V.ファーレン長崎の究極の選択|ジャパネットかNOVAか
そんな危機的状況にあるV.ファーレン長崎を救うホワイトナイトとして期待されていたのが、当時2009年からメインスポンサーを務めていたジャパネットホールディングスでした。
これまでジャパネットホールディングスの社長である高田明氏は、クラブ経営や運営には介入しない姿勢をとってきました。
高田氏がクラブの経営や運営に介入しなかったのは自身の影響力を考えてのことだったそうです。
V.ファーレン長崎を応援する多くの人が、ジャパネットの支援を受けるものだと思っておりました。
実際にジャパネットは株式を100%取得し3年で10億円以上を支援する意思を表明しました。
しかし、V.ファーレン長崎が支援の受託をしようとしたのは英会話教室で人気のNOVAホールディングスでした。
NOVAは子ども向けのサッカー教室を展開するためサッカー界での人脈づくりを進めたいと、クラブへ5億出資を打診してきていたのです。
ジャパネットが提示していたのが3年で10億円、NOVAが提示していたのが1年で5億円でした。
すぐにでも資金調達をしたかったV.ファーレン長崎は、NOVAの提示に前向きな姿勢を見せたのです。
しかし、この判断が地元のサポーターや企業から反感を買う結果になりました。
それも当然、長年メインスポンサーをしてきた地元企業の提示を断ろうとしたからです。
またサポーターだけでなく県からも問い合わせがあり、結果ジャパネットの支援受け入れを受託することになりました。
ジャパネット流経営改革
こうしてジャパネット体制になったV.ファーレン長崎は経営体制を一新していきました。
まずV.ファーレン長崎の株式を100%取得することで、完全子会社にしました。
そしてV.ファーレン長崎の新社長には、お茶の間でも有名な高田明氏が就任しました。
結論から言いますと、このジャパネット体制は大成功することとなりました。
累積赤字が3億円以上になり、選手の給料未払いも危惧された状況をV字回復させ、16年度に約7.5億円だった売上高は、18年度は約24億円にまで増加させたのです。
さらに経営に関わるだけでなく、高田氏自らが広告塔となり営業活動も行いました。
毎回試合に足を運び、写真撮影やサインに快く応じるなどファンとの交流が話題になり、スタジアムに高田氏が登場するとまるでアイドルのような歓声が起きたそうです。
他にもSNSを活用した広報活動も行いました。
また経営の安定だけでなく、クラブ成績も2020年シーズンがJ2で3位、2021年シーズンがJ2で4位と好調を維持していることがわかります。
この成績の向上にも高田氏は大きく関わっています。
前年までの赤字を抱えていた時は、選手の給料が未払いになるかもしれない問題や、練習環境も決していいものではありませんでした。(支給される練習技が1枚だったり、FK用の壁が破損していたり)
しかし、ジャパネットの子会社になったことで選手給料の問題や、練習環境が大きく改善されていったのです。
よって選手は自分たちのプレーに集中して試合に臨むことができるようになり、クラブ成績の向上につながったと考えられます。
そして今では新スタジアムの新設にも着手しております。
V.ファーレン長崎の新スタジアム構想についてこちらの記事を参照ください。
まとめ
今回はどん底に落ちたクラブがどのように経営改革をして復活したのかを見ていきました。
上記からも分かる通り、V.ファーレン長崎にも多くの分岐点があったと思います。
もし、スポンサーをNOVAにしていたらクラブ経営はどうなっていたのか?もし高田氏の経営再生が失敗していたらクラブは存続できなかったのか?
常に最善の選択をしてきたことが今のV.ファーレン長崎につながっていると感じます。
その他のJリーグクラブの実例を知りたい方はこちらをご覧ください。
コメント